色に触れる
鎌田 恵務[かまた けいむ]
月に1度『蔵元めぐみ』さんという女性に絵画の指導をしています。
彼女は、生後40日の時に脳内出血にみまわれ、九死に一生を得て、現在、ハンディとともに生きておられます。
そんな彼女と触れ合うようになって、早いもので11年という月日が流れておりますが、
その間、粘土いじり、模写などを終え、現在は、主に作品の制作サポートを行なっています。
彼女は、画材の匂いを嗅いだり、キャンパスの上で乾いてゴツゴツとした絵の具の感触を指で楽しみながら、
自由な発想のもとに何度も々、色を置き、重ねて、一つの絵を完成させていきます。
それは、染織家が何度も、何度も、布を水と空気に触れさせ一つの作品を染め上げていくように、
彼女の生きる30数年という時が積層となって、色が生まれ作品へと変容しているように感じられます。
こういった「作品を創る」といった気負いを持つ訳でも無く、ただ淡々と繰り返される作業の中から生まれる
「驚き」や「発見」が、彼女や彼女を取り巻く社会にとって、より豊かな彩りを添え、
更なる時を創り上げていくのだと感じています。
(画像は、めぐみさんの制作風景です。)
プロフィール
1961年生まれ。
九州産業大学芸術学部美術学科卒業後、
九州産業大学芸術学部美術学科卒業後、
彫刻家として活動し現在に至る。